大阪地方裁判所 昭和58年(わ)6363号 判決 1984年3月02日
本籍
徳島県美馬郡半田町字下尾尻一七五番地の五
住居
大阪府門真市大字下島頭一三四番地の一
土建業
蔭山光夫
昭和一九年七月二五日生
右の者に対する公務執行妨害、傷害被告事件につき、当裁判所は、検察官井越正人出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役六月に処する。
この裁判が確定した日から二年間刑の執行を猶予する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、昭和五八年九月二二日午前一一時ころ、大阪府門真市大字下島頭一三四番地の一所在の自宅において、被告人の申告に係る昭和五五年分ないし同五七年分の所得税に関する調査に従事していた門真税務署所得税第三部門国税調査官元木晴夫(当時三〇年)に対し、「わしも命を張って商売をしているんや。ええ加減なことを言うたら殺すぞ。」などと怒号して脅迫し、更に同人の顔面を足で蹴る暴行を加え、もって同人の職務の執行を妨害するとともに、その際、右暴行により、同人に対し、加療約六日間を要する右眼窩部打撲の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官及び司法警察員(三通)に対する各供述調書
一 元木晴夫、本田常二の検察官に対する各供述調書
一 医師光吉一弘作成の診断書
(法令の適用)
被告人の判示所為のうち、公務執行妨害の点は刑法九五条一項に、傷害の点は同法二〇四条、罰金等臨時措置法三条一項一号に各該当するが、右は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、刑法五四条一項前段、一〇条により一罪として重い傷害の罪の刑で処断することとし、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判が確定した日から二年間右刑の執行を猶予し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文により全部これを被告人に負担させることとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 岡村稔)